最後に、印鑑証明書の有効期限について述べておきます。

　実は、印鑑証明書それ自体に法的な有効期限はありません。例えば、相続による所有権移転登記の申請書に添付する、登記原因証明情報としての遺産分割協議書（過去のコラム「所有権移転登記（相続）とは（７）・（１０）」参照）に押印された実印にかかる印鑑証明書については、有効期限がありません。つまり、遺産分割協議自体は10年前に話が済んでいたが、相続による所有権移転登記を今になってしたい……といった場合には、遺産分割協議書に押印された実印にかかる当時の印鑑証明書、すなわち10年前の印鑑証明書を添付すればそれで足りるのです。

　もっとも、個別の契約や手続に印鑑証明書を要求される場合には、「発行から何か月以内のもの」という有効期限があることも多いです。