登記申請とは(3)

2022.06.10 | コラム

 まず、仮に権利を得る者からの申請のみで登記記録の更新が可能だとすればどうなるでしょうか。おそらく、「銀座の土地は私が購入したから、登記記録の所有者を私に書き換えてくれ」という人々が東京法務局に押し寄せ、登記事務が崩壊することでしょう。


 では、権利を失う者からの申請のみであった場合にはどうでしょうか。例えば所有権を失う者から「あの人(買主)に不動産を売却したので、登記記録を書き換えて下さい」との報告があれば、これをもって情報の更新をしても構わないように思えます。

 しかし、買主の意思の確認もしないまま、所有者と扱ってもよいのでしょうか。


 我が国の法律には、「私的自治の原則」という、これまた大きな原則(考え方)が存在します。これは、「自分の意思があってはじめて、権利を得、義務を負う」というもので、言い換えれば、たとえ権利を得る内容であったとしても、当人に権利を取得する意思がなければ、知らない内に勝手に権利が与えられることはない、ということです。

Page Top