遺言事項⑤ 5年を超えない期間での遺産分割の禁止とは(1)

2021.11.07 | コラム

 まず、「遺産分割」とは、相続人同士で、相続財産の分配についての話し合いのことを言います(詳細は過去のコラム「遺産分割とは」参照)。

 遺産分割は、原則として被相続人の死亡後、いつでも行うことができますが(民法9071項)、例外として遺産分割が禁止されることもあります。


 例えば、相続人中に未成年者がいて、あと数年で成人するといった場合に、それを待つために遺産分割を禁止する場合や、相続人になり得る胎児がいて、その出生を待つ場合、また、相続人間の仲が悪く、現時点で遺産分割をすれば紛争になることが予測できる場合などが考えられます。

 遺産分割を一定期間禁止することで、未成年者が成人になってから自らの意思で遺産分割に参加できたり、相続人が確定してから遺産分割をすることでその後の紛争を防止したり、相続人間の関係修復によって遺産分割が可能になる期待があります。


 ただし、逆に遺産分割の禁止を行うことで、相続財産が共有状態のままとなり、各相続人が個別に財産を取得することができない期間が続く等の問題も考えられます。

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