遺留分を侵害するような遺言があった場合についての処理についてですが、このような遺言も、被相続人の最期の意思を尊重して有効とされます。

　ただし、遺留分を侵害された相続人には、「遺留分侵害額請求権」という、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する権利が与えられます。

　遺留分の侵害があった場合であっても、請求することができるのは「金銭」のみとなります。

　遺留分については、令和元年７月に法改正があり、従来はすべての種類の相続財産を、遺留分侵害として取り戻すことができる対象にしていました。しかし、例えば対象財産が不動産であった場合などは、遺留分侵害の請求をした側とされた側の共有状態（複数人で１個の物を所有すること）になってしまい、その後の処理が複雑化するなどの問題が生じていました。

　そこで、上記の法改正によって、遺留分侵害によって請求する財産の対象を「金銭」に限定することで、処理が簡便になるよう図られたのです。