遺言事項⑨ 一般財団法人の設立・財産の拠出とは(5)

2021.11.18 | コラム

 前置きが長くなりましたが、今度は一般財団法人について解説していきましょう。


 一般財団法人とは、ある「財産」の集まりに法人格を付与することで成り立つ法人形態のことです。株式会社のように株主である人の集まりに重点を置くのではなく、財産の集まりそのものに重点を置くことが特徴的です。

 そしてこの財産を元にして、一定の目的のために事業活動を行っていくことになります。

 例えば、美術館の多くは財団法人です。寄付された美術品(財産)を元にして、これを展示公開したりすることにより、美術品の普及を目指して活動していきます。


 他にも株式会社との大きな違いとして、一般財団法人は基本的に「非営利」団体であるということが挙げられます。

 コラム「遺言(遺言書)の種類⑨ 一般財団法人の設立・財産の拠出とは(3)」でご説明したとおり、「営利」とは、事業によって生み出された利益、もしくは残余財産を出資者に対して分配することを言います。

 一般財団法人においては、これをしてはいけません。

 ただし、勘違いしやすい注意点として、非営利とは、「利益を上げてはいけないこと」ではないということです。要するに、非営利団体であっても事業活動によって利益を上げることは構わないが、その利益は出資者に分配してはならず、団体の活動目的のために充てなければならないということです。

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