単純承認とは、亡くなった人（被相続人）の残した相続財産をそのまま相続人が引き継ぐことをいいます。

　さて、「相続放棄とは」「限定承認とは」のコラムでは、それぞれの手続の注意点を挙げました。これをご覧になった方の中には、「単純にプラスの財産が多くあるので、普通の相続をしたいが、その場合にも家庭裁判所での手続や期間制限などがあるのだろうか」と疑問に思われた方もいるかもしれません。そこで最後に単純承認を解説していきます。

　結論から申し上げますと、単純承認には家庭裁判所での手続や期間制限などの規定は存在しません。言い方を変えれば、「相続放棄や限定承認などの特別な手続を採らなければ、自動的に単純承認になる」と考えていただければ良いと思います。相続手続の中では、一番オーソドックスなケースになります。

　単純承認では、被相続人のプラスの相続財産、マイナスの相続財産のすべてを相続人が引き継ぎます。その具体的な振り分けの仕方については、遺産分割という相続人同士の話し合いで決めていくことになります。