前回のコラム「登記申請とは（１）～（４）」では、登記申請の意義とその有用性についてご説明しました。

　内容を軽く振り返りますと、まず登記に求められるのは「正しい情報を、いかに迅速に公示（公開）するか」ということ。そして、ある不動産の権利関係に変更が生じた場合に、その事情を誰よりも正確、迅速に把握しているのは変更の原因（例えば所有者に変更があった場合の、その原因となった「売買」）を作った「当事者」であること。さらに、当事者である「権利を得る者」と「権利を失う者」の両者が協力して申請することで、より正確な登記記録（登記の情報）の更新が可能になるというお話でした。

　さて、当事者から申請してもらうことによって、極めて正確な不動産情報が登記記録に反映されることは理解できましたが、「正しい情報を、いかに迅速に公示するか」の「迅速」の部分については、どのように解決すればよいのでしょうか。

　このことをご説明する前提として、「対抗要件」というものの内容を理解する必要があります。