2022.06.10 | コラム
前回までの「対抗要件とは(2)~(7)」で、対抗要件を備えるということがいかに重要な問題であるか、ご理解を頂けたかと思います。
それでは最後に、コラム「対抗要件とは(1)」で挙げていた疑問をここで解決しましょう。
我が国の法律では、売買における所有権移転の要件としては、登記を要求していません。「売買意思の合致」のみによって所有権は買主へと移転します。
しかし、第2の買主などの第三者が登場した場合には、その者に対して「自分こそがこの物件の真の所有者だ」と主張するためには、対抗要件、すなわち所有権移転の登記をしなければならず、これが第2の買主などに先越されるようなことがあれば、もはやその物件の完全な所有権を得る術はなくなってしまいます。そして最悪の場合には、不動産購入代金という大金を騙し取られて大損をするという結末まで懸念されることになります。
また、売主の方の立場を見てみると、そもそも不動産売買が成立した時点で、売主には「買主への所有権移転の登記申請に協力する法的義務」というものが発生しますので、これを無視した場合、法令違反として買主から訴訟を提起されることになってしまうでしょう。
このように、登記をすることによるメリット、そして登記をしないことによるデメリットの両方を用意することで、登記制度は当事者による迅速な登記申請を促しているのです。
それでは最後に、コラム「対抗要件とは(1)」で挙げていた疑問をここで解決しましょう。
我が国の法律では、売買における所有権移転の要件としては、登記を要求していません。「売買意思の合致」のみによって所有権は買主へと移転します。
しかし、第2の買主などの第三者が登場した場合には、その者に対して「自分こそがこの物件の真の所有者だ」と主張するためには、対抗要件、すなわち所有権移転の登記をしなければならず、これが第2の買主などに先越されるようなことがあれば、もはやその物件の完全な所有権を得る術はなくなってしまいます。そして最悪の場合には、不動産購入代金という大金を騙し取られて大損をするという結末まで懸念されることになります。
また、売主の方の立場を見てみると、そもそも不動産売買が成立した時点で、売主には「買主への所有権移転の登記申請に協力する法的義務」というものが発生しますので、これを無視した場合、法令違反として買主から訴訟を提起されることになってしまうでしょう。
このように、登記をすることによるメリット、そして登記をしないことによるデメリットの両方を用意することで、登記制度は当事者による迅速な登記申請を促しているのです。