そうです、「せっかくマイホームを手に入れるためにお金を借りたのに、その担保のためにマイホームを取られたのでは本末転倒もいいところじゃないか」というわけです。

　しかし、実際に住宅ローンを組まれた方は既にご存じでしょうが、住宅ローンを組んで手に入れたマイホームを、直ちに金融機関に差し出すなどということはありません。当然ながら、マイホームに住むのは住宅ローンを組んだお客さん自身です。

　では、前回のコラムで「人質の代わりに差し出すのは、マイホーム等の『物』です」などとご説明したことは一体なんだったのか。

　実は、抵当権という担保によって金融機関等に差し出す「物」とは、マイホームという物体、物理的な意味での「物」そのものではなく、マイホームの「価値」という意味における「物」のことなのです。