2021.09.30 | コラム
「相続財産とは」のコラムでも記しましたが、相続財産とはプラスの財産だけでなく、負債などマイナスの財産をも含めた言葉です。そして相続財産のうち、プラスの財産だけを相続するといったことは法律上認められていません。
相続放棄とは、相続財産の調査をしてみたら、マイナスの財産の方が多かったといった場合にする手続のことです。
言葉からもイメージしやすいのですが、相続放棄とは「相続に関するすべての権利や義務の承継を放棄すること」です。また、相続人全員が一緒に手続をしなければならないわけでなく、各相続人それぞれの判断で、できる手続です。
相続放棄には重要な注意点がいくつかあります。解説していきましょう。
1.家庭裁判所に対して手続をしなければならない。
相続財産のすべてを放棄するという重要な意思表示は、他の相続人ではなく、家庭裁判所に対してしなければいけません。
2.期間制限がある。
相続手続に大きな影響を与える相続放棄には、その手続の期間制限が設けられています。具体的には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という規定があります。(民法915条)
相続があった場合には、急いで相続財産の調査を済ませ、相続放棄をするか否かの意思を決定し、その手続を家庭裁判所に対して、しなければいけないのです。
3.一度した相続放棄は撤回できない。
相続放棄の手続をした後に、「故人の財産が別に見つかったので、やはり相続をしたい」といった事態になったとしても、家庭裁判所に対して行った相続放棄の意思は撤回することができません。
そのため、事前に綿密な財産調査と、慎重な判断が求められることになります。