2021.11.06 | コラム
特別受益とは、被相続人(亡くなった人)から、遺贈や生前贈与によって特別の利益を受けた相続人がいる場合に、その相続人が受けた利益のことを指します。
生前贈与の場合には、「婚姻」や「養子縁組」、または「生計の資本」のために受けた利益が該当します(民法903条1項)が、特別受益に該当するかどうかは個別具体的に判断され、基本的に少額のものは含まれません。
特別受益は、「相続人」が被相続人から「遺贈」または生計の資本等の生前贈与を受けた場合のものですので、相続人が被相続人以外の者から受けた遺贈や生前贈与については該当しません。
特別受益がある場合には、相続開始時に存在した相続財産をそのまま法定相続分(詳細はコラム「遺言事項② 相続分の指定・指定の委託とは」参照)通りに振り分けるのではなく、これに特別受益を加えたものを分配計算の基礎とします。
例えば、長男の一郎さんは生前、被相続人から住宅購入のための資金として多額の贈与を受けていました。そして相続が開始し、相続人は一郎さんと二郎さんの2人だけです。
ここで一郎さんが、「法定相続分は自分と二郎、それぞれ2分の1ずつになるのだから、相続財産を折半しようじゃないか」と言い出したとします。
二郎さんとしては、やはり生前に一郎さんが受けた住宅購入資金の贈与分を無視して分配することには不満が残ります。
そこで、一郎さんが被相続人から受けたこの資金贈与(特別受益)を、一旦相続財産に加えて計算の基礎とし、これによって算出された相続分を二郎さんは享受し、一郎さんについては、算出された相続分から特別受益分を差し引いたその残りを享受することにしたのです(民法903条1項)。一郎さんが生前受けた住宅購入資金を一度返金するわけではありませんので、注意してください。
この相続財産に特別受益分を加えたものを計算の基礎とすることを、「特別受益の持戻し」と呼びます。
ただし、この特別受益の持戻しによる計算を、被相続人が望まない場合には話が異なります。
例えば、一郎さんは生前に被相続人の老後の面倒を見ていて、その分のお礼として被相続人は住宅購入資金の贈与をしたと考えていた場合、遺言事項として記載することで、一郎さんの特別受益の持戻しを免除することができるのです(民法903条3項)。
相続人間の話し合い(遺産分割協議)で特別受益を判断する場合、意見が分かれて紛争になることも多いと考えられますので、特別受益に該当する生前贈与や遺贈がある場合には、その持戻しの要否について遺言を残すことを検討されてはいかがでしょうか。
生前贈与の場合には、「婚姻」や「養子縁組」、または「生計の資本」のために受けた利益が該当します(民法903条1項)が、特別受益に該当するかどうかは個別具体的に判断され、基本的に少額のものは含まれません。
特別受益は、「相続人」が被相続人から「遺贈」または生計の資本等の生前贈与を受けた場合のものですので、相続人が被相続人以外の者から受けた遺贈や生前贈与については該当しません。
特別受益がある場合には、相続開始時に存在した相続財産をそのまま法定相続分(詳細はコラム「遺言事項② 相続分の指定・指定の委託とは」参照)通りに振り分けるのではなく、これに特別受益を加えたものを分配計算の基礎とします。
例えば、長男の一郎さんは生前、被相続人から住宅購入のための資金として多額の贈与を受けていました。そして相続が開始し、相続人は一郎さんと二郎さんの2人だけです。
ここで一郎さんが、「法定相続分は自分と二郎、それぞれ2分の1ずつになるのだから、相続財産を折半しようじゃないか」と言い出したとします。
二郎さんとしては、やはり生前に一郎さんが受けた住宅購入資金の贈与分を無視して分配することには不満が残ります。
そこで、一郎さんが被相続人から受けたこの資金贈与(特別受益)を、一旦相続財産に加えて計算の基礎とし、これによって算出された相続分を二郎さんは享受し、一郎さんについては、算出された相続分から特別受益分を差し引いたその残りを享受することにしたのです(民法903条1項)。一郎さんが生前受けた住宅購入資金を一度返金するわけではありませんので、注意してください。
この相続財産に特別受益分を加えたものを計算の基礎とすることを、「特別受益の持戻し」と呼びます。
ただし、この特別受益の持戻しによる計算を、被相続人が望まない場合には話が異なります。
例えば、一郎さんは生前に被相続人の老後の面倒を見ていて、その分のお礼として被相続人は住宅購入資金の贈与をしたと考えていた場合、遺言事項として記載することで、一郎さんの特別受益の持戻しを免除することができるのです(民法903条3項)。
相続人間の話し合い(遺産分割協議)で特別受益を判断する場合、意見が分かれて紛争になることも多いと考えられますので、特別受益に該当する生前贈与や遺贈がある場合には、その持戻しの要否について遺言を残すことを検討されてはいかがでしょうか。