遺言事項⑦ 遺贈とは(1)

2021.11.08 | コラム

 過去のコラム「相続とは」で解説したとおり、相続とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた財産(相続財産)を、相続人に引き継ぐことだと解説しました。

 そして相続人とは、配偶者や子供、あるいは両親や兄弟姉妹などの近しい親族であり、その顔ぶれは民法によって定められています(民法887条~889条)。

 つまり、相続人以外の者に財産を「相続」させることはできないのです。


 それでは、決められた相続人以外の者に財産を譲りたいと考えた場合には、一体どうすればよいのでしょうか。

 生前にする場合であれば「贈与」による財産の譲渡が考えられますが、自分の死後に財産を相続人外の他者に譲渡する場合には、「遺贈」または「死因贈与」の方法が挙げられます。


 遺贈とは、被相続人の財産を、遺言によって他者に取得させることを言います(民法964条)。

 例えば、お世話になった恩人に、自分の死後に財産の一部を譲りたいと考えた場合に用います。

 ただし、「遺贈」の場合の財産承継の対象者は、相続人も含むことになりますので、次のようにまとめることができます。

  「相続」による財産承継の対象者 ⇒ 相続人

  「遺贈」による財産承継の対象者 ⇒ 相続人・相続人以外の者

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