遺言執行者とは(1)

2021.11.22 | コラム

 過去のコラム「遺言事項⑩ 生命保険受取人の変更とは」でも触れましたが、遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続をしてくれる人のことを言います。

 銀行での預貯金解約手続や不動産の登記手続など、遺言内容を実現するために必要となる一切の行為をする権限を持ちます。


 遺言執行者が活躍するもっとも代表的な例が「遺贈」です(遺贈の詳細は過去のコラム「遺言事項⑦ 遺贈とは(1)・(2)」参照)。

 例えば、被相続人(亡くなった人)の相続人が一郎さんと二郎さんの2人だったとして、被相続人の遺言書に「〇〇の土地を友人である哲郎さんに遺贈する」という内容が書かれていた場合について考えてみましょう。

 遺言執行者が選任されていなければ、この土地の登記名義を被相続人から哲郎さんに移すための手続は、新しく登記名義人となる哲郎さん(権利者)と、現登記名義人である被相続人の相続人である一郎さんと二郎さん(義務者)が互いに協力してしなければいけません(共同申請)。

 この場合、一郎さんや二郎さんが、被相続人の土地が哲郎さんに移ることに納得をしていればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。もしもいずれか、または2人ともが「ただの友人である哲郎さんに土地を譲ることには納得できない」と考えていた場合には、不動産所有権の移転において重要な役割を果たす登記手続が滞り、紛争に繋がってしまうでしょう。

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