前回のコラム「遺言とは」では、遺言は、人が自身の死後にその効力を発生させる目的で、生前に残す意思表示のことであると書きました。

　では、その遺言をどういった形で死後に残すのかというと、答えは「遺言書」となります。

　遺言書はよく「遺書」と混同されがちですが、遺書は自身の死後にだれかに向けて書く手紙のようなもので、法律的な制限はありません。

　対して遺言書は、法律による厳格な要件を満たした書面のことで、その内容に法的拘束力を有します。

　遺言は、普通方式と特別方式とに大きく分類されます。

　特別方式とは、例えば乗船した船舶が遭難した場合など、死の危険が高い逼迫した状況下で認められる方式ですが、現実に用いられることは余りなく、基本的には考えなくてよいと思います。

　世間一般にイメージされる遺言（遺言書）はすべて普通方式のものです。

　普通方式の遺言はさらに、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言に分けることができます。

　いずれも法律による異なった要件が定められており、遺言書という書面を残す方法を採ることは、共通しています。