遺言(遺言書)の種類② 法務局の遺言書保管制度とは

2021.10.18 | コラム

 法務局の遺言書保管制度とは、自筆証書遺言(遺言書)を法務局に預け、原本に加えて画像データとしても保管する制度です。令和2年7月にスタートした新しい制度でもあります。

 この制度を用いることで、「自筆証書遺言の問題点とは」のコラムでお伝えした、自筆証書遺言における問題点を解決することができます。解説していきましょう。


1.遺言書の外形的チェックが受けられる

 「遺言(遺言書)の種類① 自筆証書遺言とは」のコラムでお伝えした、民法968条の定める自筆証書遺言の形式に適合しているかの、外形的なチェックを受けることができます。


2.原本及び画像データが長期間保管される

 法務局において遺言書とその画像データが管理されるため、自らが遺言書を管理する通常の自筆証書遺言と異なり、紛失の心配がなく、また、相続人等からの破棄・隠匿・変造・偽造を受ける危険もありません。


3.相続が生じると相続人に通知がされる

 遺言者の死亡によって相続が開始した場合、法務局は、遺言者死亡の申出を受けて、相続人等に対して、遺言書が保管されていることを通知します。


4.検認手続が不要になる

 この制度を利用することで、前回のコラム「検認とは」でお伝えした検認手続が不要になり、相続人等の負担を解消することができます。


 利点の多い制度ですが、いくつかの注意点もあります。


1.遺言書の内容面のチェックは受けられない

 この制度の最大の問題点であり、落とし穴とも言えるのが、遺言書の内容面のチェックが受けられないことです。

 上記のメリット「1」では、「遺言書の外形的チェックが受けられる」と解説しました。これはあくまでも、「全文が自書されているか」、「氏名の記載や押印はあるか」といった形式的なチェックにすぎません。

 また、この制度を利用して法務局に遺言書が保管されたからといって、遺言書の有効性を保証するものではありません。つまり、遺言の内容面に問題があった場合には、無効と判断されるも場合もあります。


2.手数料がかかる

 1通につき3,900円の手数料がかかります。


 遺言内容の有効性については、慎重な判断が求められるため、専門家にご相談されることをお勧めします。

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