2020.04.17 | コラム
司法書士の職務に本人確認情報作成業務があります。
本人確認情報とは、不動産の登記済証(俗にいう権利証)又は登記識別情報通知が見つからない場合などに司法書士が作成する権利証や登記識別情報に代わる情報の事です。
元々権利が有るとか無いとかは目に見えないから厄介なのです。
「俺がこの土地の権利者だから買ってくれ。」と浮浪者のような身なりのおじさんが言ってもそれだけでは誰も相手にしないでしょう。
権利者本人である事の証明があってこそ不動産取引は始まるのです。
目に見えない権利を具現化したものが権利証であり、登記識別情報です。
権利証や登記識別情報通知を紛失してしまうと不動産売買取引においては大変な事になります。
売りたいと言っている人物が本当に権利者本人なのかが、突然怪しくなります。
普通は持っているべき物を持っていないからです。
そこで司法書士が本人である事の確認をしてお墨付きを与える訳です。
これで登記ができるようになります。
本則は事前通知制度を利用することなのですが、時間がかかるので決済に不向きとされています。
詳細な説明は割愛しますが、事前通知制度とは要するに法務局が登記名義人(現在の所有者)に手紙を送り、本人からの返信をもって本人確認をする制度です。
本人確認情報を作成することは司法書士にとっては大きなリスクを背負う事を意味します。
万が一本人なりすましの者に対して本人確認情報を提供した場合には責任問題になります。
まず本人が黙ってないでしょう。
本人確認は慎重に行われます。
間違っても氏名、住所、生年月日だけで確認という事はないでしょう。
もっと細かく聞き取ります。
司法書士としての矜持や力量、そして経験が問われる業務です。
司法書士の仕事は奥が深いなと最近つくづく思います。