所有権移転登記(相続)を放置することの問題点(6)

2022.09.05 | コラム

5.他の相続人が相続不動産を勝手に処分するおそれがある

 相続財産である不動産は遺産分割協議がされる前であっても相続人全員の共有状態にはあるので(民法898条)、相続人の1人からでも相続による所有権移転登記を申請することができます。

 そうすると、相続人の1人が他の相続人の知らぬ間に相続による所有権移転登記をなし、さらに第三者に勝手に売却(処分)をして売買による所有権移転登記まで済ませてしまう可能性があるのです。


 もっとも、各相続人は自己の法定相続分に対応する部分については、登記による対抗要件を備えていなくとも第三者に対して権利を主張することができます(同法899条の2第1項)。

 しかし、前回のコラム「所有権移転登記(相続)を放置することの問題点(5)」の4.と同様、相続財産の権利関係に赤の他人が入ってくることには変わりありませんから、事態の複雑化は免れないでしょう。

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