遺産分割に期限はあるか

2021.10.03 | コラム

 「遺産分割とは」のコラムでは、遺産分割協議の成立には相続人全員の合意が必要であり、協議の成立は難事であると書きました。

 さて、そのような遺産分割協議において、相続人の間で、なかなか話し合いがまとまらない場合など、「一体いつまでに遺産分割協議を成立させなければならないのか。」という問題があります。


   結論を申し上げますと、現行法上、遺産分割に期間制限はありません。

 ただし、この点について、「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)が令和3421日に成立し、同月28日に公布されました。

 この改正で遺産分割については、「相続開始から10年の経過後にする遺産分割では、特別受益や寄与分の主張ができなくなり、法定相続分どおりの遺産分割になる」という、民法904条の3が新設されることになりました。

 特別受益や寄与分についてはまた改めてお伝えしますが、例えば被相続人(亡くなった人)に対して長年の介護をしていた場合など、遺産分割に際して特別の配分を要求するものです。

 即ち、相続開始から10年を経過すると、特別受益や寄与分の請求権が失われ、原則として法定相続分どおりの遺産分割をすることになります。


 これまでの「遺産分割はいつでもすることができる」という民法の原則が変更されましたので注意が必要です。なお、上記の法改正は令和6年に施行予定とされています。    

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